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ファブリックと花に人生を捧げるドリス・ヴァン・ノッテンに迫ったドキュメンタリー

2022.06.15 / 安江侑花
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ベルギー出身の世界的ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)を描いたドキュメンタリー『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』。これまで数多くの密着取材を断ってきた彼の初となるドキュメンタリーだ。映画は「ドリス・ヴァン・ノッテン」の2015年春夏ウィメンズコレクションのシーンから始まり、そこから2016-17年秋冬メンズコレクションまでの1年間を描く。

御年100歳のファッションアイコン、アイリス・アプフェルも称賛する職人的なデザイナーであるドリス。ファッションの世界で名を馳せる一方、彼は大の園芸好きとしても知られている。本ドキュメンタリーでは、ショーの舞台裏やデザイン過程はもちろんのこと、ドリスのインスピレーションの源であるアントワープ郊外の自宅と、美しい庭と花々に囲まれた生活が明らかになっている。

ドリスの自宅にある庭は、誰もが1度は憧れるような素晴らしい景観を持つ。広大で豪華でありながらも自然体。開けたスペースにある大きな池には橋が架かり、その周りには一面芝が広がり、静かで落ち着く空間になっている。さらにビショップ・オブ・ランダフや、黄色やオレンジなどのダリアが広がる庭、北欧風の庭や家庭菜園を営む庭など、様々な庭で構成されている。そして、彼の庭には草花だけでなく、郊外の広大な土地を生かし、花木や巨大な木々が連なる。

邸宅の中に入っても、そこには花や緑に囲まれた鮮やかな空間が広がっている。ダイニングテーブルやキッチン、リビングのサイドテーブルからデスクまで、部屋の至る所に庭で育てた花々が飾られている。鮮やかな切り花たちを、これがデザイナーの実力だと言わんばかりに、美しい配色と配置で飾っていくドリス。それぞれの部屋のインテリアの色味と合わせ、季節の花々を取り入れているのだ。

デザイナーとしてオフィスでは仕事に打ち込み、家ではガーデニングに没頭する。庭で過ごす時間は、自分のすべきことを考えたり、次に何を植えようかと庭師と相談したりと、仕事とは別の大切な時間だという。彼はデザイナーとして、ファブリック(生地)と色使いを得意とし、色で遊ぶことで、さまざまな感情を表現する。彼の世界を作り上げる色、その色遊びを楽しむ様子が庭にも表われている。この作品を見た誰もが、彼の作り出す服だけでなく、色鮮やかな花々に囲まれた生活に憧れを抱くだろう。

©2016 Reiner Holzemer Film-RTBF-Aminata bvba-BR-ARTE

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華道家 中村俊月 Shungetsu Nakamura
Shungetsu Nakamura
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