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千葉県木更津市の森の地中に「農夫の本棚」をイメージした「地中図書館」

2023.02.01 / 岩見光
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千葉県木更津市にあるサステナブルファーム&パーク「クルックフィールズ(KURKKU FIELDS)」内に、新たな施設「地中図書館」が2月16日にオープンします。

2019年にオープンした「クルックフィールズ」は、春夏秋冬の光や風を感じ、農作物を育て、生き物と触れ合う場所。また、自然と距離ができてしまった都市の人を、農業や自然と繋ぎ直す取り組みや「非日常」の提供をしています。約9万坪の広大な敷地で「農」「食」そして「自然」の循環を体験することができます。また、ここでの体験を、想像力の働きや、深い思考へとつなげるものとして、「クルックフィールズ」は立ち上げ当初から本を重要視し、この場所にあった本との向き合い方を考えてきました。2022年11月には、創る暮らしを体感できるヴィラ「cocoon」を開設、そして「地中図書館」など新たな施設が加わり、魅力溢れるコンテンツや体験を展開していきます。

また、「クルックフィールズ」の敷地内には、自然と調和しながら想像力を育むためのアート作品が点在しています。草間彌生の作品をはじめ世界的に活躍するアーティストたちの作品を、宝探しのように探検しながら「答え」のない世界を楽しむことができます。

建築家・中村拓志氏が手掛けた「地中図書館」は、その名の通り、木や草花が生い茂る土の下に、ひっそりと隠されたように存在します。中村氏は、隈研吾建築都市設計事務所を経て2002年NAP建築設計事務所を設立。自然現象や人々のふるまい、心の動きに寄りそう「微視的設計」による、「建築・自然・身体」の有機的関係の構築を信条としています。「地中図書館」のコンセプトは「さまよう」。中村氏は、自然と深い関係を持つ「クルックフィールズ」に図書館をつくるということで、「農夫の本棚」のようなイメージを最初に持ったそうです。土地に従属した大地の一部のような、非オブジェクト的なあり方がふさわしいのではないかという考えから、森の地中に隠されて人々が「さまよう」中で発見されるような建物となっています。

中村氏は地中図書館のこだわりについて、「『地中図書館』のホールの天井はレシプロカル構造という、28本の木の梁を互いに支え合うように組み合わせてつくられています。1本1本は弱いけれどそれぞれが隣に力を伝えながら、結果として大きな空間を支える、これは『クルックフィールズ』が体現している共助社会、循環型社会の象徴でもあり、そういう意味で最もこだわった点です。本棚の中に『さまよう』というコンセプトや空と大地のつながりを感じさせる細やかなこだわりがたくさんあります。訪れた人が『さまよい』ながら発見してくれたらいいなと思っています」とコメントしています。

「クルックフィールズ」には左回りの渦のような導線がありますが、「地中図書館」はあえてシンメトリー(左右対称)になっていて、「クルックフィールズ」の起点のような場所として機能するといえます。植物も野菜も土の中の微生物の働きによって豊かに育まれていきます。そのように、「地中図書館」は、人が地中で本を読み、知を蓄え、想像力を養うことで日々の活動が彩られていくことを期待しており、想像力豊かに未来へと歩を進める人々の支えになるような場所を目指します。

建物の外観は、地面から少しだけ芽が出ているような形状。オープン時の蔵書数は約3,000冊を予定しています。本棚と共に、地中図書館がこれからどのように成長していくか一緒に楽しむこともできます。思考する時間を洞窟のように横たわる空間で過ごしてみてはいかがでしょうか。

■地中図書館 
オープン日|2023年2月16日(木)
所在地|千葉県木更津市矢那2503 KURKKU FIELDS
開館時間|12:00 – 17:00
休館日|火、水曜日
入館方法|事前予約制(KURKKU FIELDS会員限定)、入館料無料
*2/9(木)10:00 予約開始予定

「クルックフィールズ」公式ウェブサイト

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華道家 中村俊月 Shungetsu Nakamura
Shungetsu Nakamura
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華道家 中村俊月 Shungetsu Nakamura